相続財産評価の税務判断
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は し が き近年における資産課税の見直しにより、相続税の納税義務者(将来、納税義務者になることが推定される方も含んで)が急増しているように思われるのが、筆者が実務を通じて最近痛切に感じるところです。この相続税の一つの特徴として、被相続人が残した各種多様な財産(ときには、国外の複雑な仕組みを伴った金融資産にも及んで)を個々に評価していくという気の長い作業が必要となります。また、土地(宅地)の評価を行うに当たっても、単純に、「路線価×各種画地補正率×面積」で算定するのではなく、もう一工夫を必要とすることも多いようです。身に染みて、相続税等における財産評価は、相当に複雑で難解なものであると考えられるところです。そこで、このような特徴を有する相続税等における財産評価について、重要と考えられる実務上の話題(問題)事項について、平成10年に出版(初版)した『税理士のための資産税の税務判断実務マニュアル』(清文社)につき、同書のなかから財産評価に関する部分を抽出し税制改正に伴う所要の見直しを行うとともに、何問かの新問を加える形で『ケーススタディ 相続税財産評価の税務判断』として本書を刊行することになりました。本書は、次のような観点から編纂されていますので、本書を利用されることにより、読者である税理士、公認会計士及び会計事務所職員等の実務家の方々が、最近における資産税の話題(問題)事項に対して万全の対処を図るための糸口としていただければと考える次第です。① 事例形式を採用することにより、実務上における話題(問題)事項に関して、適用されるべき税法条文等と実務上における問題解決方法について、その解決に至るプロセスを示しながらその両者を有機的に結合させることに主眼をおいたこと② 取り上げた実務上の話題(問題)について、各事項ともに相当数のページを充当し、詳細な解説を行うとともに、関連事項についても可能な限り言及したこと③ 各事項ともに、「ケース」、「この問題のポイント」、「解説」、「税理士へのアドバイス」、「参考法令通達等」の各項目に分類し、必要に応じて、読者に対する利用の便宜を図ったこと筆者の浅学非才の点から推敲を重ねながらも十分に意を尽くすことができなかったことをお詫びし、また、紙面の都合もあり収録問題数にも限りがあり読者各位のご期待に添えなかった点があるのではないかと危惧する次第ですが、今後の改訂時の宿題としたいと考えています。本書を資産税の考え方を身につけるための基本書として利用していただければ、筆者として望外の喜びとするところであります。

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