実践 建築の企画営業
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  同じような立地条件や規模の建物でも、テナントの内容や建物の性能により金融商品としての価値が大きく違うのが、証券という紙になった不動産の特徴です。まさに、実態の裏付けを持った不動産が情報化され、大きなビジネスに取り組まれていく時代になったのです。素人とプロの違いを明らかにすると―― 証券という紙になる以前の不動産は実物であり、そこでは綿密に考えられた企画が重要なのはいうまでもありません。 実物の不動産をターゲットとした建築企画において、周辺の環境を含めた「ニオイ」をつかみ、企画を立てることは重要です。なぜなら不動産は同じものは二つと存在しないからです。さらに、不動産には必ず所有者がいます。取得するにしても活用するにしても、所有者を説得しなければなりません。 「誰かを説得するには自分自身が納得していなければならない」とはよく言われる言葉です。自分自身が十分に納得するには、インターネットなどから得る情報だけではなく、現地で実際に周辺環境の「ニオイ」を感じ取ることが何より重要です。 「現場」では、地主さんや事業者から不意に質問をされるかもしれません。あえて試されることもあるでしょう。二代目、三代目の地主さんともなれば、知識が豊富な人も少なくありません。そのような場合、事前に知識を持っていなければ、たちまち言いくるめられてしまうでしょう。 そこで重要なのが、プロとしての知識・情報・経験です。地主さんは一般的な情報は知っていても、業界の生の情報は知らないものです。一般的な情報を超える、知識と経験に裏付けられた情報を持っていること――これこそがプロといわれるゆえんなのです。

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