実践 建築の企画営業
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 これまでの方法では収支が合わなくなってきた時代に―― 現在の職人不足・資材高騰による建築費の高止まりの傾向は、多少緩まりつつも、今後も続くと予想されます。このような時代では、単純に「建物を建てましょう」という程度の提案では仕事につながりません。そもそも収支が合わないからです。「収支が合う」とはどのようなことか、正確に理解している営業マンはどれくらいいるでしょうか。また、収支が合わなければ、どうしたらよいのでしょうか。 建設費コストダウンの方策、賃料アップの方策、相続税や法人税の節税策など、さまざまな方策・対策を組み入れていかなければなりません。さらに、これまでのように15~20年程度の中期で投下資本を回収することは難しく、20~30年の長期で回収する時代になってきました。そこで必要なことは、「100年建築」の考え方を企画に取り込むことです。 「100年建築」とは、諸外国と同じように「つくったものは壊さない」という考え方です。これまで再建築することでビジネスを行ってきたわが国の建設業界の常識とは相反するかもしれませんが、時代は大きく変わってきているのです。「サスティナブル」という継続性を保つ考え方は、建築業界だけでなく、どの業界でも必要な考え方になっており、むしろ先進的に取り組むべきではないでしょうか。現場で役立つ知識を中心に―― そこで本書では、これまで筆者が携わった現場の経験から、このような知識を持っていれば役立つと感じた内容を中心にまとめました。たとえば税金や立退きの問題。本書の読者のほとんどは、税理士でも弁護士でもないことでしょう。しかし企画営業の現場では、これらの問題はつきものです。そのような場合、「相続税は○○円程度ではないでしょうか」「契約書に記載があっても法律的には無効のこともあります。万一のことを考えて、○○円程度の立退き料を

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