仮装経理の実務対応
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第1章●法人税法における仮装経理規定の概要 …… 3仮装経理では、基本的に以上のような仕組みとなっており、納税者が第Ⅰ期の法人税額として納付した過大納付額(更正による減少税額)は、通常の減額更正と異なり、直ちには全額が還付されないのである。また、仮装経理の減額更正は、法人が修正経理(参考図では第Ⅱ期②)をし、これに基づいて申告するまでは行われないこととされている。このような仕組みの仮装経理規定が創設された経緯等、具体的な条文解説、留意点等についてはこの本章の以降の各項目を参照されたい。【第Ⅰ期】① この事業年度で仮装経理(粉飾決算)により、過大な法人税を納付する。【第Ⅱ期】② この事業年度で第Ⅰ期目の仮装経理の修正経理を行う。【第Ⅲ期】第Ⅱ期の(第Ⅰ期目の仮装経理を修正した)確定申告書を提出し、あわせて第Ⅰ期目の過大申告に対する更正の請求を行う。③ この更正の請求を受けて税務当局により仮装経理をした事業年度(第Ⅰ期)について減額更正がされる。④ 更正による減少税額のうち、更正の日の属する事業年度の直前事業年度(この参考図では第Ⅱ期)の確定法人税額が還付される。【第Ⅳ~Ⅶ期】⑤~⑨  更正による減少税額のうち④で還付しきれなかった税額は、第Ⅲ期以降の後続事業年度の納付すべき法人税額から5年間にわたり控除する。【第Ⅷ期】⑩ 更正による減少税額のうち⑨までの控除で控除しきれなかった税額がある場合には、残額が還付される。

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