鈴木基史が語る相続税・贈与税の実践アドバイス
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26(2)1億6千万円が相続税の免税点 通常は妻と子供で相続しますから、妻の相続割合は2分の1。そこで妻が遺産の半分を相続し、この特例を最大限に活用すれば妻には相続税がかかりません。子供が相続する残り半分に対する税金だけ払えばいい、ということです。 ところで、この話にはさらにうま味があります。それは特例の適用対象として、最低1億6千万円は保障するというものです。たとえば、遺産が2億円のとき、民法の相続割合は2分の1で1億円ですが、このとき1億6千万円までこの特例が使えます。いずれか多い金額まで適用2億円×12=1億円1億6千万円⎱⎱⎱ そうなると相続税の課税対象は、2億円から1億6千万円を控除した残り4千万円部分だけ。もし、遺産総額が1億6千万円以下なら、この特例をフルに利用すれば相続税はいっさいかかりません。 相続人が3人で基礎控除が4,800万円の場合でも、1億6千万円までは税金がかからないということで、『1億6千万円』が事実上の免税点となっています。(3)妻が実際に相続するのが条件 なんとも大盤振る舞いの特例ですが、一つ条件があります。それは妻が財産を実際に相続する4444444ということです。 つまり、2分の1とか1億6千万円というのは、あくまで特例の適用枠の話です。権利行使できる枠がそれだけあっても、実際に特例を受けるためには、その金額以上の財産を妻が相続しなければなりません。(4)一次と二次の税金を通算して考える さて、次ページ表の試算結果をご覧ください。遺産が1億6千万円で、相続人が妻と子供2人(合計3人)の場合、一次相続の遺産分割をどうするかで、一次相続と二次相続の税額がこのように変わります。

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