鈴木基史が語る相続税・贈与税の実践アドバイス
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はしがき 私は仕事でよく「提案書」を書きます。税務に関する相談を受けたとき、アドバイスをできるだけ文書にまとめて渡すようにしています。すべて完全オーダーメイド品です。同じ質問でも、相談者ごと置かれた状況は違います。仮にまったく同一の質問で状況も同じだとしても、相談相手の知識レベルや性格にあわせて文章や内容、ときには結論も違ってきます。AI(人工知能)時代の本格到来で、会計士・税理士の仕事がなくなる、とよく耳にします。でも、こうした心を込めた仕事は、機械ではとても務まらないんじゃないかと思います。 この仕事をしていて思うのは、アドバイスには具体的な数字を盛り込むべ し、ということです。漠然と〈こうすれば節税になる〉といった説明では、相手は納得せず振り向いてくれません。具体的な節税額を示してはじめて、真剣に考え始めます。そこで相手から次の質問が発せられ、次なるステップを考える。そうしたキャッチボールを繰り返すなかで、満足のいく答えが形づくられていく。こういうアドバイザーでありたいものと、常々思っています。 本書に盛り込んだ節税知識は、すべてそうした私の体験に基づいています。他の書物の受け売りや机上の空論ではありません。誰かから相談を受け、いろんな試算結果に基づきプランを練って対策実行、その後、税務署への申告と税務調査の洗礼を受けた話ばかりです。 ご自身のまわりの相続問題を抱えていらっしゃる方はもとより、会計事務所や金融機関などにお勤めで、相続税や贈与税について勉強しなければならな い立場の方に、ぜひとも本書をお読みいただきたいと思っています。楽しく読み進むうちに、実務で役立つ444444知識が身につくはずです。 なお、最終章(   「終わりに」)で、相続に対する私の思い(考え)をまとめて述べています。本書をお読みいただく際、最初にこの章に目を通し、その後、各章の技術的な内容に移っていただく読み方でも結構かと思います。 最後に、本書の出版にあたっては、清文社編集第二部の尾形和子氏にたいへんお世話になりました。心よりお礼申し上げます。平成30年6月鈴木 基史ⅩⅣ

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