未分割申告の税実務
9/12

40第1編未分割の場合の相続税実務 ① 一部分割財産の額+未分割遺産の額=相続財産総額 ② 相続財産総額×法定相続分-一部分割財産の額=未分割財産分配額 ③ 一部分割財産の額+未分割財産分配額=課税価格 積上方式では超過受益となった場合に調整ができないのに対し、この方式では相続人間の調整が可能であり、また、相続財産の総額に対して法定相続分を乗じるため、相続人間の公平が保てるという特徴があります。【具体的計算】相続人①②③(①×②)④⑤(③-④)⑥(④+⑤)相続財産総額法定相続分法定相続分の額一部分割財産の額未分割財産配分額課税価格長男3億円121億5,000万円6,000万円9,000万円1億5,000万円二男1億5,000万円9,000万円6,000万円1億5,000万円合 計3億円 【東京地方裁判所 平成17年11月4日判決(高裁棄却H18.3.30)】(TAINS・Z255―10194) 遺産の一部の分割がされ、残余が未分割である場合においては、遺産の一部の分割によって、遺産全体に対する各共同相続人の相続分の割合が変更されたものと解すべき理由はないから、各共同相続人は、未分割財産の分割に際しては、他の相続人に対し、遺産全体に対する自己の相続分に応じた価格相当分から既に分割を受けた遺産の価格を控除した価格相当分について、その権利を主張することができるものと解するのが相当である。そして、相続税法55条1項本文は、遺産の一部の分割がされ、残余が未分割である場合の課税価格の計算が、上記のような実体上の権利関係に従って行われるように規定されたものと解されるから、被告(課税庁)の主張するいわゆる「穴埋め説」による解釈が相当である。

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る