相続税対策としての家族信託
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20処分してもらうことによって得られる利益を、《受益者》に与えるしくみです。《委託者》は信託契約により《受益者》を自由に決めることができます。 例えば、土地を所有している父が高齢のため土地の活用ができない場合、父が委託者となって、土地を信託財産とします。子を受託者として土地を信託し、受託者(子)がその土地にテナントビルを建設して、子がそのビルを管理運営し、父を受益者として、賃料収入などを最終的に父に交付するといった形で活用できます。受託者である子は、テナントビルを管理・運営する費用(実質相当額)は受益者に交付する金額から差し引けますが、信託報酬を受領することはできません。 そして、一定の信託期間が終了すると、受託者(子)は終了時点で保有する信託財産のすべてを受益者(父)に交付しますが、信託期間の途中で父が亡くなることがあると、受益権(テナントビル)は信託契約に基づき相続されることになり、信託は終了します。 家族信託を利用する理由で多いのは「自分が死んだ後の財産の管理や分割について、遺言ではなく、今のうちから財産を子に管理してもらうことで、専門家の意見を聞きながら、子が責任を持って親の財産を運用する体制を整えたい。いつ認知症になるかもしれないし、なってからでは遅いので…」というものです。

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