税理士のための取引相場のない株式の評価と対策
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第2章 遺留分に関する民法特例と取引相場のない株式評価の必要性10後継者が安定的に経営を行っていくためには、先代経営者が保有する自社株式や事業用資産を後継者が円滑に承継することが重要ですから、特例中小企業者(注)の株式等の贈与を受けた者等が、経済産業大臣の確認を経ることを前提に、家庭裁判所の許可を得て遺留分権利者全員との合意及び所要の手続に関する民法特例の適用を受けることができます。経営承継法第4条第1項第1号に「除外合意」、第2号に「固定合意」が規定されています。 (注)遺留分に関する民法特例制度を利用できる会社をいい、下表の中小企業者のうち、一定期間(おおむね3年)以上継続して事業を行っているものとして経済産業省令で定める要件に該当する会社で、上場・店頭公開会社は除かれます。中小企業基本法上の中小企業者の定義資本金従業員数製造業その他3億円以下300人以下卸売業1億円以下100人以下小売業5千万円以下50人以下サービス業100人以下又は政令により範囲を拡大した業種(灰色部分を拡大)資本金従業員数ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)3億円以下900人以下ソフトウェア・情報処理サービス業3億円以下300人以下旅館業5千万円以下200人以下又は(中小企業庁財務課 中小企業経営承継円滑化法申請マニュアル「民法特例」)条文当該後継者が当該旧代表者からの贈与又は当該特定受贈者からの相続、遺贈若しくは贈与により取得した当該特例中小企業者の株式等の全部又は一部について、その価額を遺留分を算定するための財産の価額に算入しないこと。内容・‌先代経営者の生前に経済産業大臣の確認を受けた後継者が、遺留分権利者全員との合意内容について家庭裁判所の許可を受けることで、先代経営者から後継者へ贈与された自社株式その他一定の財産について、遺留分算定の基礎財産から除外することができます。・‌後継者が旧代表者からの贈与等により取得した株式等につき除外合意をすることにより、当該株式等は遺留分算定基礎財産に算入されず、遺留分減殺請求の対象にもならないため、旧代表者の相続に伴って当該株式等が分散することを防止することができます。Ⅱ経営承継法(民法特例)の内容₁.除外合意(贈与株式等を遺留分算定基礎財産から除外できる制度)

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