広大地評価はこう変わる
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第3章 ■ 広大地評価にみる財産評価と不動産鑑定評価40     与えるような特性を持つものである。      近隣地域は、その地域の特性を形成する地域要因の推移、動向の如何によって、変化していくものである。     ② 類似地域      類似地域とは、近隣地域の地域の特性と類似する特性を有する地域であり、その地域に属する不動産は、特定の用途に供されることを中心として地域的にまとまりを持つものである。この地域のまとまりは、近隣地域の特性との類似性を前提として判定されるものである。   ⑵ 同一需給圏     同一需給圏とは、一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいう。それは、近隣地域を含んでより広域的であり、近隣地域と相関関係にある類似地域等の存する範囲を規定するものである。     一般に、近隣地域と同一需給圏内に存する類似地域とは、隣接すると否とにかかわらず、その地域要因の類似性に基づいて、それぞれの地域の構成分子である不動産相互の間に代替、競争等の関係が成立し、その結果、両地域は相互に影響を及ぼすものである。(以下略) 不動産鑑定評価基準における「標準的使用」の概念は、近隣地域の地域分析をする場合に、地域的特性を把握するために必要なものです。地域的特性、すなわち、住宅地域なのか商業地域なのか、低層住宅地域(戸建分譲適地)なのか中高層住宅地域(マンション適地)なのかという特性を把握するために、近隣地域の標準的使用が手がかりとなるため、標準的使用の分析が地域分析の基本となっているのです。 広大地通達でいう「その地域」とは、上記の不動産鑑定評価基準における用途的地域、すなわち近隣地域及び類似地域の概念と同じものと考えることができます。不動産鑑定評価基準運用上の留意事項Ⅳ 「総論第6章 地域分析及び個別分析」について1.地域分析の適用について⑴ 近隣地域の地域分析について① 近隣地域の地域分析は、まず対象不動産の存する近隣地域を明確化し、次いでその近隣地域がどのような特性を有するかを把握することである。  この対象不動産の存する近隣地域の明確化及びその近隣地域の特性の把握に当たっては、対象不動産を中心に外延的に広がる地域について、対象不動産に係る市場の特性を踏まえて地域要因をくり返し調査分析し、その異同を明らかにしなければならない。  これはまた、地域の構成分子である不動産について、最終的に地域要因を共通にする地域を抽出することとなるため、近隣地域となる地域及びその周辺の他の地域を併せて広域的に分析することが必要である。

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