4STEPで身につく 〈入門〉土地評価の実務
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はじめに平成25年度税制改正により、平成27年1月1日以後に開始する相続税について、基礎控除の引き下げが行われました。これにより課税対象者が増加し、一般の納税者にとっても税理士事務所にとっても、相続税に対する関心が高まりました。相続税務において土地評価が与える影響は非常に大きく、どのように評価を行うかによって税額が大幅に異なってきます。ただし、近年、土地の評価に関する取扱いは複雑なものとなってきています。評価実務を行うためには、財産評価基本通達の取扱いを網羅するだけでは足りず、国税庁の質疑応答事例やタックスアンサー、資産課税課情報、裁判例・裁決例などの情報も網羅しなければなりません。これらの情報を紹介する土地評価の解説書は世に多く刊行されていますが、取扱い(しくみ)を読んだだけでは実際に土地の評価明細書を完成させることはできません。土地評価の初学者が知りたいのは、評価の“しくみ”もさることながら、評価の“しかた”なのではないでしょうか。実務では、真っ白な公図を目の前にして、評価単位を区分するためであったり、セットバックやがけ地の面積を測るためであったり、公図に線を引く必要があります。この線をいかに引くかに尽きるのです。そのため、本書では、土地の評価の初学者を対象に、実務の手順(しかた)をわかりやすく伝えることを目的としています。土地の評価にあたって、土地の所有者が持つ資料のどこを確認し、現地調査では何をみて何を調べ、役所調査では何をどのように調べればよいのか、そして最終的に評価明細書にどのように記入するのか、という4つのステップを踏めば評価ができるようにしています。また本書では、実際に土地の評価を行う税理士と、土地評価の国家資格を持つ不動産鑑定士の2人が、実務で直面したポイントを「コメント」という形で伝えています。本書が土地評価に悩む読者の指針となりましたら幸いです。なお、本書では非公開裁決も含めた裁判例・裁決例情報を掲載していますが、今日その情報が収集できるのもTAINS(税理士情報ネットワークシステム)税法データベース編集室の方々のご尽力によるものです。この場を借りて御礼申し上げます。最後に本書の刊行の機会を与えてくださった株式会社清文社の代表取締役小泉定裕氏、編集にご尽力頂いた編集部依田文実氏に御礼申し上げます。平成28年12月税  理  士 風岡 範哉不動産鑑定士 田中 泰男

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