都市農地の特例活用と相続対策
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第8章 調整農地の市街化編入 ーーーー生産緑地指定か?宅地化選択か?1388-1 平成13年都市計画法改正で都市計画決定が都道府県に 平成13年に施行された都市計画法で、都市計画区域の決定の権限が国から地方公共団体へ移転しました。市町村合併の影響もあって各地で都市計画区域の変更が相次いでおり、その結果、農地課税にも影響が出てきています。1 都市計画決定の権限が国から地方公共団体へ(右ページ図1) 都市計画区域については、開発を促す「市街化区域」と開発を抑制する「市街化調整区域」とを区別する「線引き制度」がありますが、従来は画一的に人口10万人以上の都市については線引きが義務づけられており、その最終決定権は国土交通大臣にありました。 改正後は地方自治体への大幅な権限委譲により、地域の実状に応じた多様な都市づくりを可能にしたのが特徴といえます。改正都市計画法の骨子は次のようになっています。①  市街化区域、市街化調整区域の線引き有無の判断は、三大都市圏を除き、原則として都道府県が地域の実状に応じて自ら行う。②  都道府県が線引きを選択せず用途が特定されない地域については、市町村は「特定用途制限地域」を定め、建築物の容積率や建ぺい率を選択して開発を抑制できるよう市町村が自ら都市計画区域の外に「準都市計画区域」を策定の上、都道府県が指定し、乱開発を防止できるようにする。高速道路のインターチェンジ周辺など、大型開発が増加するおそれのあるような地域を対象として考えられている(右ページ図2)。③  都市部商業地の高度利用を促すため、同一ブロック内の離れた建物を一体とみなして敷地面積や床面積を合算する「特例容積率適用区域制度」を導入する。2 農地については従来より開発を容易に 特に農地については、「市街化調整区域における規制を緩和し、地域の実状に応じて、市街化の進みつつある一定の地域における住宅等を許容する」としています。市街化調整区域のすぐ隣まで宅地開発が進み、基盤整備が整っているような地域については、従来のほとんど開発が認められない取扱いから、実状によっては開発が容易になると考えられます。一方、市町村が昨今の財政状況から固定資産税による財源確保という意味で、追加で基盤整備費用のかからないような地域の市街化編入を進める可能性も指摘できるでしょう。3 市街化調整区域の市街化編入も 三大都市圏の一部の府県では、市街化区域にある虫食い状態の市街化調整区域や幹線道路の伸長に伴う市街化調整区域の市街化編入が進められており、今後そのような取扱いが進む可能性が高くなってきているといえるでしょう。 実際に、すでに香川県では従来の「線引き制度」を廃止、新しい都市計画制度を策定し、用途白地地域については容積率や建ぺい率の記載ができるようになりました。 全国で市町村合併が進められましたが、その過程で線引き見直しが行われ、市街化調整区域から市街化区域に編入されるといった例も出てきています。

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