税理士のSOSに答える実例解説 土地評価の実務対応
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はじめに 財産評価基本通達の土地評価は減額主義です。つまりマイナス要因、減価要因をもれなく積み重ねてはじめて正解に到達できます。その減価要因の減額や補正率は財産評価基本通達に記載があります。したがって、それら減価要因を見つけることさえできれば正しく評価できます。しかし、土地は千差万別であり、経験が少ないと個別性の強い土地に潜む減価要因に気付かないことも多々あります。財産評価基本通達や土地評価の専門書は減価要因の補正率の選択方法や計算方法などは解説されていますが、減価要因の「見つけ方」「気付き方」には触れられていません。計算方法をいくら知っていても、実務で見つけることができなければ絵にかいた餅です。 この書籍ではそういった減価要因に気付かず誤って評価してしまった事例を中心に紹介し、①どこが誤ったのか、②その結果どうなったのか、③その誤りはどうすれば防げたのか、を解説し、正しい評価額に到達できるよう構成しました。 なお、本書で採り上げている事例はすべて、実際に筆者が評価に携わったものですが、いわゆるグレーゾーンといわれる、財産評価基本通達に規定のないことに対してもひとつの解決策として評価方針を示しています。本来全国一律であるべき評価規定ですが、グレーゾーンに対する課税庁の対応は残念ながら一律といえません。したがって、是認される評価方法は数通りもあると考えられます。そのようなことから、本書における評価方法・評価方針も多くの私見を含んでおり、また地域性による相違があることもご認識ください。 本書は特に土地評価にある程度精通している税理士先生や資産税担当の職員の方のための土地評価の応用編としてご活用いただければ幸いです。 プロの評価手法と見るべきポイントを確認し、過大評価しない土地評価技術を是非習得して、依頼者・相続人の信頼を勝ち得て地域一番の「土地評価に強い事務所」になってください。

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