譲渡所得課税をめぐる費用認定と税務判断
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第3章 ケーススタディ300得税法60条1項の規定の本旨は、増加益に対する課税の繰延べにあるから、この規定は、受贈者の譲渡所得の金額の計算において、受贈者の資産の保有期間に係る増加益に贈与者の資産の保有期間に係る増加益を合わせたものを超えて所得として把握することを予定していないというべきである。そして、受贈者が贈与者から資産を取得するための付随費用の額は、受贈者の資産の保有期間に係る増加益の計算において、「資産の取得に要した金額」(所法38①)として収入金額から控除されるべき性質のものである。そうすると上記付随費用の額は、所得税法60条1項に基づいてされる譲渡所得の金額の計算において「資産の取得に要した金額」に当たると解すべきである。……」とし、取得費性を認める判断がなされた。   この判決においては、ゴルフ会員権を贈与により取得した際に受贈者が支出した名義書換手数料についての判断がなされたものであるが、ゴルフ会員権の名義書換手数料以外の費用であっても、例えば、不動産登記費用、不動産取得税、株式の名義書換手数料など、贈与、相続又は遺贈(以下「贈与等」といいます。)の際に通常支出される費用については、その資産の取得費に算入できることになります。 所法33、38、60、所基通37-5、38-1,38-2,38-8、38-9、38-9の3~38-11、49-3、60-2

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