譲渡所得課税をめぐる費用認定と税務判断
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 3 取得費がわからないとき307  ④‌ 建物の取得価額を着工建築物構造別単価(以下「建築物単価」という。)から算定し、土地については市街地価格指数を基に算定する方法 などが考えられる。   しかし、①の方法によれば、本件物件の取得費が一定率で計算され実額等がまったく反映されていないこと、②の方法によれば、土地の譲渡及び取得に係る売買実例がなく世情を反映した確実な指標とする合理的理由が見当たらないこと、③の方法によれば、画一的で個別事情が反映されず、実勢価額が形成されないことが考えられるなど、これらの方法を用いて算定することには合理的理由が見当たらない。   そこで、④の方法によれば、取得費の算定の基となる建築物単価がN調査会(以下「調査会」という。)が公表した統計的な数値であることから、市場価格を反映したより近似値の取得費が計算できることになり、合理的であると言える。」  と主張し、取得費の算定に当たっては、概算取得費の5%より、「着工建築物構造別単価」や「市街地価格指数」を基準にして算定する方法が合理的であるとしています。   審判所は、原処分庁が土地及び建物の取得費の算定において採用した「市街地価格指数」及び「着工建築物構造別単価」を基準にした算定方法が相当であるとしています。   したがって、取得費が不明な場合であっても、取得当初の取得価額として算定された金額が合理的であれば認められるケースもあるということになります。  所法33、38 措法31の4、措通31の4-1  

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