相続道の歩き方
2/18

はじめに相続は、知的好奇心を刺激され、同時に大きな充実感も味わえる法分野です。ところが、経験の浅い士業者がそれらを学ぼうとすると、多くの場面で疑問や不可解さ、違和感を感じるはずです。これは、相続分野に似通った(けれども異なる)制度が多いこと、法的意味と社会一般の理解とが明確に区別されない場面があること、人の生活に最も近い法分野の一つでありながら法制度がそれに最適化されていないことなどに原因があります。世には「相続本」が溢れ、なかには良書と呼べる実務書も多くありますが、若手士業者が直面するそんな「ひっかかり」を正面から取り上げたものは皆無といってよく、駆け出しの士業者は割り切れない思いを抱えたまま、手探りで案件に取り組まなければなりませんでした。この本では、相続にまつわる相談や依頼を受けることが増えてきた若手士業者の方にとって、相続を学ぶ道のりで出くわすであろう「ひっかかり」の場所をあらかじめ明らかにし、どう対処すればよいのかという考え方をできる限りわかりやすく示すことを心がけました。遺産分割協議、調停や遺言執行者としての業務を行うようになった中堅の法律家にとっても、本書は、ときに混乱しがちな制度、手続、概念を整理し、きちんと理解し直す助けとなるはずです。また、施行が目前に迫る約40年ぶりの大幅な相続法改正についても、噛み砕いてできる限りわかりやすく説明を加えていますので、手っ取り早く改正を押さえたいという方にも最適です。もちろん、相続事件処理にも改正にもまったく興味がないという方向けに、センセーショナルなイラストも多数用意しています。この本が、あなたの歩く相続道を明るく照らし、より充実した歩みをもたらす一助になれたら望外の喜びです。2018年11月中村 真

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る