租税回避をめぐる税務リスク対策
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194第3編 行為計算否認規定の適用に関するQ&A組織再編成を実行するに当たって、法人税法132条の2の適用を受けないようにするためのポイントは何か。      第1編第2章第8節に記載したとおり、ヤフー・IDCF事件は、法人税法132条の2の不当性要件について、濫用基準を採用し、①行為または計算が、通常は想定されない組織再編成の手順や方法に基づいたり、実体とは乖離した形式を作出したりするなど、不自然なものであるかどうか、②税負担の減少以外にそのような行為または計算を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか等の事情を考慮した上で、当該行為または計算が、組織再編成を利用して税負担を減少させることを意図したものであって、組織再編税制に係る各規定の本来の趣旨および目的から逸脱する態様でその適用を受けるものまたは免れるものと認められるか否かという観点から判断すると判示した。この濫用基準について、実務的な観点から重要となるポイントは、第2編第2章1に記載したとおり、税負担の減少を目的としたスキームとしてあらかじめ立てられた計画に基づいて実施する組織再編成とは認められず、かつ、事業上の必要性ないし合理的な事業目的に基づいて実施される組織再編成であって、税負担の減少のみを目的として一定の行為または計算を実施するものとも認められない場合には、それ以外の事情を考慮することなく、濫用基準を充足しないものと判断することができるという点であろう。Q1法人税法132条の2の 適用を避けるポイントA1

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