税理士が使いこなす 改正国税通則法
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二 その者が日本の国籍を有し、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有することその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が国内において継続して1年以上居住するものと推測するに足りる事実があること。 (以下略) ここにある「推定」とは、一定の事実(前提事実)があった場合、法律要件事実(推定事実)があるものとして、扱うことをいう。一般的には、証明が困難な事実を、より証明が容易な事実に代えることで、証明の負担を軽減することを目的とする(法律上の推定)。 前述のとおり、「住所」の証明は、容易ではなく、税務執行上も問題が生じることから、所得税法施行令14条1項は、職業の内容等の証明で、「住所」の証明に代えることとしたわけである。 法律上の推定は、あくまで「推定」なので、推定される課税要件事実の不存在を直接証明すれば、当該課税要件を前提とする法律効果は発生しない。例えば、継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を有する場合であっても、(容易ではないが)日本国内に住所を有しないことを証明できれば、所得税法上、非居住者として扱われる。 要するに、法律上の推定は、前提事実の立証によって、課税要件事実の立証責任に転換が生じさせるものといえる。法律上の推定と立証責任の転換日本国内に住所を有すること:不存在が証明されない限り存在と扱う= 立証責任が転換している法律上の推認日本企業の本店で常勤取締役として勤務する50第2章課税要件論及び納税義務の確定

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