税理士が使いこなす 改正国税通則法
18/22

第      節3契約書がなくても主張が認められる場合1問題の所在 税務調査において、納税者が契約書の文言と事実が異なると主張しても、税務署が否認する場合がある。このような税務署の主張は、審判所や裁判所の事実認定のあり方からして、一般論としては是認できるものである。 すなわち、文書の証明力には、「形式的証明力(文書が立証者の主張する特定人(作成名義人)の意思を表現するものと認められること)」と「実質的証明力(文書の記載内容が証明に役立つこと)」とに区別される。そして、契約書などの処分証書については、その真正な成立が認められれば(形式的証明力が認められれば)、特段の事情がない限り、一応その記載どおりの事実(契約等の法律行為がなされたこと)が認められることになる(これを「処分証書の法理」という)。売買契約書文書全体について、Aの意思に基づいて作成されたと推定(2段目の推定)(民訴228④)作成名義人A ㊞A印章形式的証明力あり特段の事情がない限り、契約書の記載どおりの売買契約の事実が認められる実質的証明力ありAの意思に基づいて印影が顕出されたと推定(1段目の推定)(最判昭和39年5月12日民集18巻4号597頁)合致287

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 18

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です