税務調査事例からみる役員給与実務Q&A
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241第3章役員退職給与を巡る法人税の理論と実務 わが社は金型の製造を行っているメーカーですが、この度役員として15年間わが社の経営に当たっていた副社長が、出張先で交通事故に遭い、亡くなりました。そこで、亡くなった副社長の長年にわたる労苦と貢献に報いるため、わが社としてその遺族に対し弔慰金及び退職金を支払うことを考えています。その場合、弔慰金と退職金とはどのように分けて経理処理することとなるのでしょうか?また、退職金については、遺族の希望により年金として分割支給することを考えているのですが、この場合、損金に算入されるタイミングはどうなるのでしょうか? 役員の死亡に伴い遺族に支払われる弔慰金は、その金額が適正であれば原則として退職給与に含まれません。また、退職金を年金形式で分割支給する場合には、年金を支給すべきときの損金の額に算入することとなります。解 説(1)役員退職給与の性格 会社法においては、役員報酬のみならず役員賞与や退職慰労金も職務執行の対価として会社から受ける財産上の利益と解されている。そのため、退職慰労金(弔慰金を含む)も在職中の職務執行の対価として定款・株主総会決議により額を定めなければならない*1、とされている。役員退職給与の範囲と損金性の判断基準13

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