民事・税務上の「時効」解釈と実務
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1.民事上の時効の種類民事上の時効には、消滅時効(民法166条)と取得時効(民法162条)というものがあります。売掛債権を有しているが、売掛先が支払いをしてくれず放置していたら、売掛先から「売掛債権は時効で「消滅」した!」と主張されてしまったというのが、前者の消滅時効になります。一方で、不動産を長期間自分のものだと思って利用していたら、実は登記簿上、他人のものとなっていた場合に、時効によって不動産の所有権を「取得」するというのが、後者の取得時効です。この時効制度の趣旨は、以下の3点にあるとされています[1]。○永続している事実状態を社会的に安定させること○権利の上に眠る者を保護する必要性がないこと○長期間の権利不行使によって生じえる立証の困難という訴訟上の問題回避[1]我妻榮ほか「我妻・有泉コンメンタール民法総則・物権・債権」第5版280頁2第1章民事上の時効制度

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