民事・税務上の「時効」解釈と実務
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Question8占有を引き継いだ者の取得時効の計算Aは、自己の土地(甲土地)と甲土地と隣接する登記簿上も他人(Y)の所有物となっている土地(乙土地)にまたがって、1つの建物を建設し、1995年4月1日からその建物を所有していました。その後、AはXに対して、2008年4月1日に土地も併せて、建物を譲渡しました。その後、2018年5月1日にYの相続人から乙土地上の建物を解体し、乙土地を明け渡すように請求されました。この場合、Xが乙土地の時効取得するための期間は、Xが土地を取得した2008年4月1日を起算点とすることになるでしょうか。AnswerXは、Aの占有開始を起算点(1995年4月1日)として主張することも、Xの占有開始を起算点(2008年4月1日)として主張することも可能です。本件では、Aの占有開始を起算点として主張することが適切でしょう。◉解説◉(1)前主の占有と自己の占有の関係Aが占有開始Yの相続人から請求 占有承継A→X1995年4月1日乙土地2008年4月1日2018年5月1日42第1章民事上の時効制度

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