民事・税務上の「時効」解釈と実務
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1.税務上の時効の概要(1)税務上の期間制限等実務の中で、広く税務上の「時効」と呼ばれるものの中には、賦課権の除斥期間と徴収権や還付請求権などの消滅時効の制度があります。また、賦課権の除斥期間と表裏をなすものとして、更正の請求の除斥期間も定められています。さらには、更正、決定等に対して、審査請求などの不服申立てやいわゆる税務訴訟を提起するにも、期間制限の中で行わなければなりません。(2)賦課権と徴収権の関係通則法では、「国税の更正、決定等の期間制限」として、70条~74条において定めがあります。そして、期間的な制約について、税務官庁の処分の性質に応じて、除斥期間と消滅時効を区分して規定されています。そして、この「処分の性質」として、いわゆる賦課権と徴収権というものが区分されています。国税債権(納税義務)は、各税法の定める課税要件充足により成立するものとされていますが、予定納税に係る所得税、源泉所得税、延滞税利子税など自動確定となるもの(通則法15条3項)を除き、その内容が具体的に確定していないため、納税義務者または税務官庁の一定の行為を通じて、その金額が確定されます。なお、この確定させる行為は、申告納税方82第2章税務上の時効制度

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