民事・税務上の「時効」解釈と実務
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(1)通常の場合の更正、決定等の期間制限(通則法70条1項)◯1更正(増額と減額)または決定(第1号)a)通常の更正または決定……5年(a)概要更正(通則法24条)は、増額更正と減額更正を含みます。決定(通則法25条)は、納税申告書(確定申告書等)を提出する義務があると認められる者が、申告書の提出をしなかった場合になされます。そして、決定またはその決定後になされる更正(修正申告に対する更正や更正に対する再更正も含む。)なども、原則として5年間の除斥期間に服することになります。なお、その他、個別税法による特則やその他、下記に記載のあるものについては、そちらの除斥期間が適用されます。(b)除斥期間の起算日[1]除斥期間は、権利を行使することができる存続期間を定めたものですので、更正をすることができる最初の日が起算日となります。具体的には、申告納税方式による国税であれば、法定申告期限の翌日が起算日になります。また、還付請求申告書についての更正については、法定申告期限の定めがありませんので、申告書を提出した日の翌日から除斥期間を計算します。ただし、申告書の提出がない場合にする決定またはその決定後にする更正については、その申告に係る還付金がなく、納付すべき税額があるものとした場合におけるその国税の法定申告期限(同法施行令29条)となります。[1]ここでいう「起算日」は、私法上の時効(第1章)における消滅の効果が遡求する「起算日」の意味ではなく、除斥期間の計算の開始日と考えて差し支えありません。872.国税賦課権の除斥期間

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