民事・税務上の「時効」解釈と実務
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Question20納税申告と期間制限の関係徴収権の消滅時効期間が経過している納税義務について、期限後申告ないし修正申告を行うことは可能でしょうか。更正決定等や更正の請求には期間制限の定めなどがありますが、納税者側からの申告行為には、期間制限はないと思われますがいかがでしょうか。Answer徴収権の消滅時効が完成すれば、その後の納税申告行為もできないと解されています。◉解説◉確かに、納税申告行為の期間制限には、一般的に条文上の定めがありません。しかし、賦課権の除斥期間経過の効果及び徴収権の消滅時効の効果は、いずれについても、絶対的な効力を有するものです(85、118ページ参照)。納税申告行為自体は、徴収権の完成猶予・更新(中断)事由にはなりえますが、消滅時効の効果発生後に生じたとしても、時効の効果が絶対的効力を有するため、消滅の効果を覆すものではありません。また、還付請求申告書についても、還付請求権の消滅時効は5年であり、同様に絶対的効力を有するものされています(138ページ参照)。したがって、徴収権の消滅時効の効果が生じた後の申告行為は何らの意味を持たない行為となるため、納税者は申告行為を行うことはできないというのが一般的な解釈です[16]。[16]武田昌輔(監)「DHCコンメンタール国税通則法」3849頁、志場喜徳郎ほか「国税通則法精解」平成31年改訂870頁等1334.国税徴収権の消滅時効

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