民事・税務上の「時効」解釈と実務
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なお、法律は、徴収権の消滅時効について規定しており、租税債権の消滅時効自体の規定はしていないことから、申告納付を収納する権利は消滅しないという反対説も存在します。しかし、国税の徴収権は、一般的に、納税義務の履行を請求し、「納付すべき税額を受領する権利」を含む[17]ものと解されていることからすると、徴収権が時効により消滅すれば、収納する権利も消滅するものと考えられます。この場合、自発的に納付があったとしても、過誤納となるものと考えられます。例えば、「偽りその他不正の行為」が存在しないにも関わらず、存在する前提で5年より前の申告について修正申告による納付をした場合には、本税に相当する部分については、還付請求ができることになると解されます。[17]谷口勢津夫著税法基本講義第6版108頁134第2章税務上の時効制度

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