改正個人情報保護法と企業実務
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4第1節 個人情報保護法とは1個人情報保護法の制定と改正に至る経緯[1]個人情報保護法の制定 「個人情報の保護に関する法律」(平成15年5月30日法律第57号。以下「個人情報保護法」という)は、2003(平成15)年5月30日に公布され、2005(平成17)年4月1日に全面施行された。 1970年代に欧州諸国においてプライバシー保護に関する法制度が相次いで整備された。これらの法制度では、個人データの国外処理を制限する条項が設けられ、情報の自由な流通をめざす米国との間で利害対立が生じていた。そこで、個人のプライバシー保護と情報の自由な流れとを調和させることを企図して、1980(昭和55)年にOECD(経済協力開発機構)が「プライバシー・ガイドライン」を採択した(※)。※ OECD加盟24か国(当時)のうち、オーストラリア、カナダ、アイスランド、アイルランド、トルコ、イギリスは棄権した(日本は棄権していない)。 これを受けて、わが国においても個人情報保護法制について本格的な議論が行われることになり、1988(昭和63)年に、公的機関を対象とした「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」(現「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」(以下「行政機関個人情報保護法」という)が公布された。また、1989(平成元)年には、民間部門に対して通商産業省(現:経済産業省)が「民間部門における電子計算機処理に係る個人情報の保護に関するガイドライン」を策定した。しかし、民間部門に対する「個人情報保護法」はなかなか策定されるに至らなかった。 そのような中、1995(平成7)年にEUデータ保護指令が成立し、第三国が十分なレベルの保護(an adequate level of protection)を確保している場合でな第1節個人情報保護法とは

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