パーソナルデータの匿名加工と利活用
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132個人情報を利用する上での制約供する消費者(個情法では「本人」といいます)に対して、その利用目的をあらかじめ公表しておくか、個人情報を取得した後に速やかに本人に通知する、あるいは公表する必要があります。利用目的を変更して使用したい場合には、あらためて、その変更後の利用目的について本人に通知するか公表するとともに、同意を取得する必要があります。 一方、事業者としては、新しいサービスや製品を導入する上で、すでに取得している個人情報を新しい目的で利用したいニーズが生じることが考えられます。しかし、本人全員からの同意を再取得することは、コストやスピードの観点からはデメリットも大きく、その目的によっては過去のデータの利用にまで遡って同意の取得や、多数の本人からの同意の取得が困難なケースも想定されます。 また、これまでも法律で定義される個人情報でなくなった情報(以下「非個人情報」といいます)については法規制の対象外となりこれらの制約を受けることはありませんでした。しかし、第1章(3~7頁)でも述べたとおり、「容易照合性」の問題を含む個人情報の範囲の曖昧さとあいまって「どこまで加工すれば個人情報ではなくなるのか」といった点において一定のコンセンサスやルールがなく、事業者にとっては非個人情報として多様な目的に利用することに躊躇する雰囲気がありました(それに加え、パーソナルデータの外部提供や活用について、社会的に問題となったケースがネガティブな印象を加速させてしまったという要因もあると思われます)。容易照合性コラム 容易照合性とは、それ自体では特定の個人を識別することができない情報であっても、その情報を取り扱う事業者が、特別の調査を行ったり特別の費用や手間をかけたりすることなく、当該事業者が行う業務における一般的な方法で、他の情報との照合が可能な状態にあることをいいます。 この容易照合性に関しては、個情法Q&Aで次のような説明があります。Q1―15 事業者の各取扱部門が独自に取得した個人情報を取扱部門ごとに設置されているデータベースにそれぞれ別々に保管している場

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