パーソナルデータの匿名加工と利活用
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1はじめにはじめに 平成24(2012)年の「EU一般データ保護規則法案」の公表(その後、平成28(2016)年4月採択)や米国の「消費者プライバシー権利章典」の公表、平成25(2013)年の「OECDガイドライン」の改正など、プライバシーやパーソナルデータをめぐる取組みが活発ななか、日本でも、平成27(2015)年9月に改正個人情報保護法が成立し、平成29(2017)年5月30日に全面施行されることとなりました。これらはすべてICT(Information and Communication Technology)の発展に伴うパーソナルデータの取扱いの多様化を契機とするものです。 「パーソナルデータはインターネットにおける石油であり、デジタル・ワールドにおける新しい通貨である」とは、世界経済フォーラムの平成23(2011)年の報告書「パーソナルデータ:新たな資源クラスの出現」における言葉ですが、改正個人情報保護法はパーソナルデータの利活用促進を狙いの1つとしており、それは平成28(2016)年10月28日に閣議決定された個人情報の保護に関する基本方針の内容にも明確に反映されています。 旧個人情報保護法においても法律の目的や基本方針で「有用性に配慮」という表現が用いられていましたが、今回の改正により、パーソナルデータについて政策面からも個人の権利利益を保護しつつ、利活用を後押しする新たな段階に入ったといえます。 本書では、改正個人情報保護法を「パーソナルデータの利活用」という視点から捉え、パーソナルデータの利活用促進の一端を担うものとして新設された匿名加工情報制度に焦点を当てて解説します。* 本書の構成は、次のようになっています。 第1章では、匿名加工情報制度が設けられた理由とその概要について解説しています。 第2章では、匿名加工情報の定義など、匿名加工情報の性質について解説しています。

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