間違わない!事業承継Q&A
2/32

はじめに わが国経済の根幹を支える中小企業では、昨今、経営者の高齢化が進行するなかで、企業体を次世代へ承継させていくことがますます困難な状況となっています。事業をスムーズに承継させることは、企業体が持つさまざまなノウハウの伝承、人的資産の承継(雇用の確保)につながり、ひいてはわが国全体の発展にもつながります。 また、大塚家具における事業承継の事例にみるように、単に名ばかりの事業承継は、長年培ってきた会社のブランドイメージの低下、これに伴う取引先、金融機関、顧客への影響の波及という決定的な損害を及ぼすリスクをはらんでいることが明らかになりました。 事業承継とは、ヒト、財産、経営権、という3つの切り離せない有機体を次世代に引き継ぐ組織行為です。かかる行為の実現のためには、ヒトの専門家、財産の専門家、権利の専門家が一体となって会社をサポートする必要があり、このようなサポートがあって初めて健全でリスクのない事業承継が可能になります。 そこで、ヒトの専門家、財産の専門家、権利の専門家が、どのようなスケジュールで事業承継を進めていけばよいか、おさえるべきポイントはどのようなことかを提示し、難解な事業承継に一筋の光を投じられればとの思いで本書を執筆しました。事業承継についてだれに相談していいかわからないという中小企業の経営者が少なからずいるなか、本書のニーズは高いと考えています。 次ページの図表のとおり、事業承継は多様な専門分野の知識が求められるタスクであり、一分野の専門家による知識や経験だけではカバーしきれない課題だと言えます。本書は、図表の各場面において求められる知識をもれなく盛り込んだ書籍であり、今まで存在しなかった1冊であると自負

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る