合併・分割・株式交換等の実務
53/60

社)は存続会社(親会社)に支配されているため、株主会を行ったとしても結論が変わらないことが明らかであることによります。なお、従属会社の定款で特別支配会社の要件を加重することは可能です(会468①かっこ書)。 ただし、合併対価等の全部又は一部が譲渡制限株式等(会783③、会規186)であって、消滅会社が開会社であり、かつ種類株式発行会社でない場合は、略式組織再編行為の規定は適用されず、株主会決議が必要とされています(会784①但書)。 また、略式組織再編の基準を満たし株主会決議を要しない場合は、株主会で議決権を行できない少数株主を保護するために合併の差止請求権が認められています(会784の2)。具体的には、当該略式組織再編が一定の条件を満たす場合で、消滅会社の株主が不利益を受けるおそれがある場合には、消滅会社の株主は合併の差止を請求することができます。一定の条件とは、以下のいずれかの場合を指します。・当該吸収合併が法令又は定款に違反する場合・ 吸収合併契約における対価の付に関する事項が、消滅会社又は存続会社の財産の状況その他の事情に照らして著しく不当である場合2 存続会社となる子会社の株主会決議 例えば、100%子会社が親会社を吸収合併する場合に、子会社の株主会の承認が不要となるケースがこれに該当します。消滅会社親会社100%吸収合併株主総会の承認が不要存続会社子会社 消滅会社(親会社)が存続会社(子会社)の特別支配会社(会468①、会規136)である場合、つまり株主の議決権の90%(これを上回る割合を定款で定めた場合はその割合)以上を単独で又は100%子会社や全持を有する法人(孫会社及び孫法人等を含む。)と併せて保有している場合は、存続会社(子会社)における株主会の承認を必要としません(会796①)。これは存続会社となる子会社は、消滅会社となる親会社に支配されているため、株主会を行ったと101第一章合併の法律§112-25

元のページ  ../index.html#53

このブックを見る