税理士春香の民法講座
9/16

-13-第2話修正意思のない修正申告の取扱い*9 広島高裁平成17年5月27日判決(TAINS Z255-10040)*10 広島高裁平成24年10月24日判決(TAINS Z262-12080)正により修正申告を取り敢えずするが訴訟の準備をしているため後日判決文により更正の請求を予定している」と記載した。5.平成17年5月27日、支払手数料の必要経費性を争った差戻後の高裁判決*9により、税務署が使用した人件費倍率の合理性が否認され、同族会社の行為計算の否認既定の適用も違法とされ、支払手数料に係る更正処分を取り消すことが確定した。6.上記5の判決の確定に基づき、平成9年3月31日に提出した平成8年分の所得にかかる修正申告税額の返還を求める訴えを平成21年6月3日に起こした。春 香  この事件では、控訴審判決*10でも納税者が敗訴して、いったん収めた税金の還付を受けることができなかったわけだけれど、一審の広島地裁が、このような修正申告は心裡留保にあたる、といったのでしたね。民法改正 心裡留保山 川  そうだけど、もしかして、今回の民法改正で、心裡留保の規定も変わったの?春 香  はい、こんな条文になりました。改正民法第93条(心裡留保) 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。 ※下線部が改正後の文言(以下、特に指定しない場合、同様とする)

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る