家族信託の活用事例
17/24

7第1節 家族信託が注目されているのはなぜかす。 家族信託に関して言えば、障害者や判断能力を失った方の生活を支援するための後見制度や、財産を承継させるための遺言などでは実現することができない希望を叶える手段として、このような柔軟性を持った信託制度の活用が期待されているのです。3 信託の永続性 信託法には、後継ぎ遺贈型受益者連続信託(法91。本書82・133頁参照)と目的信託(法259。本書110頁参照)以外については存続期間を制限する定めはありません。 後継ぎ遺贈型受益者連続信託では、信託がされた日から30年を経過した時点以後に現に存する受益者が受益権を取得し、その受益者が死亡するまでまたは受益権が消滅するまでの間、その効力を有するものとされ(法91)、目的信託では存続期間は20年を超えることができないとされており(法259。ただし、目的信託のうち公益信託は除きます。公益信託法2②)、存続期間の定めのある信託でも信託期間の上限は相当長期です。 信託を利用すれば、信託目的を達成するために受託者が長期にわたって信託財産の管理処分等を継続してもらうことができます。4 信託財産の選択と取りまとめ 委託者の有するどの財産を信託財産にするかは、委託者が自由に選ぶことができます。 たとえば、受益者の生計のために必要な財産だけを受託者に託して受益者の生活支援をさせたり、委託者の余剰財産だけを信託財産として受託者に積極的な運用を任せたりするなど、信託をする目的に必要十分な財産の範囲に限って信託を利用することが考えられます。 財産を信託すれば1つの信託財産になります。複数の財産や、所有者が異なる財産、共有に係る財産でも、すべて1つの信託で管理処分等をすることがで

元のページ 

page 17

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です