判断に迷う仕訳を起こせる会計術
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おわりに仕訳を起こすために、知っていなければならないこと、考えなければならないこと、おわかりいただけたでしょうか。言うまでもありませんが、取り上げた事例は、ビジネスにおいて登場する取引のうちのほんの一例にしか過ぎません。しかし、実務上仕訳を起こす際の思考方法や判断についてのヒントを与えてくれるような題材になったのではないかと自負しています。知りたいと思う取引に関する仕訳が本書で取り上げられていなかったとしても、事例から学んだ思考方法や判断を応用すれば、他の取引について仕訳を起こす際にも必ず参考になるはずです。もしかすると、本書で取り上げられた思考方法や判断よりも、さらに合理的なものに気付くかもしれません。より高度な思考方法や判断を求める方は、専門的な会計理論や税法その他の法律、取引実務などの勉強に進んでみることをおすすめします。本書で強調しておきたいのは、仕訳や決算書というものは、会社の経済的実態が自動的に表現されているものではなく、そこに至るまでに様々な思考、判断が加えられて作成されているものでもあるということです。資格試験などの簿記では、取引に対応した仕訳の学習が中心になるかと思います。しかし簿記を学んだ先にある経理実務においては、機械的ではない、思考に富んだ、広大でリアルな生々しいビジネスの世界が広がっているということなのです。簿記・仕訳を通して見た経理実務の世界がいかに面白いか、本書をお読みいただき、少しでも感じ取っていただければ、それに勝る喜びはありません。本書を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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