決算書の前期比較術
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第1章 決算書分析の基本は前期比較4 1つ目の目的では、誰が決算書を分析にするかによって、さらに目的が細分化されます。経営者によっては、経営判断に活かすという目的で決算書は分析されますが、投資家にとっては、投資先企業の将来性を判断するために分析することが通常でしょう。また、金融機関にとっては、融資先企業の返済能力の有無を判断することに主眼を置いた分析がなされるのではないでしょうか。 2つ目の目的では、経理部員、内部監査人、監査役、会計監査人、税務署、金融機関などの方が、決算書に誤りがないかどうかを意識して分析することになります。この目的でも、誰が決算書を分析するかによって、目的が細分化されます。なぜなら、「誤りがあったら困るところ」が、それぞれの分析者によって異なるからです。⁃⁃2決算書分析の基本は前期比較 決算書の分析目的が異なると、当然に分析手法も変わってくることになり、決算書上の重視する勘定科目や財務指標が異なってきます。財務分析の教科書では、収益性分析、効率性分析、安全性分析、成長性分析、キャッシュ・フロー分析、セグメント分析といった分析から、統計学を利用した高度な分析まで様々ありますが、決算書分析の基本は前期比較です。なぜなら、前期比較はもっとも容易な分析方法であり、あらゆる目的にそった効果的な分析だからです。

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