新たな収益認識基準 実務対応
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1411 収益認識の金額や時期に影響を与える可能性のある事例系列的な分割検収に留意しなければならない点が多い。 収益認識には、一定の機能を有する成果物の提供が完了し、その対価が確立することが必要である。そのため、契約が分割された場合であっても、一般的には最終フェーズが終了し、その機能が確認されることにより収益認識されることになるが、最終的なフェーズ終了の前であっても、顧客との取引において、分割された契約の単位(フェーズ)の内容が一定の機能を有する成果物*の提供であり、かつ、顧客との間で納品日、入金条件等についての事前取り決めがあり、その対価が成立していれば、各フェーズにおいての収益認識は可能である。しかし、分割検収は、開発の最終工程の前であることから、売上金額の事後的な修正が行われる場合が考えられるので、各フェーズ完了時の対価の確立、販売代金の回収可能性、返金の可能性、資金回収リスクを考慮しなければならない。*例えば、顧客が使用できる一定のプログラム、設計書等の関連文書はそれ自体で使用する価値があると考えられる。 税法上の取扱いは、長期大規模工事(ソフトウェアの開発を含む)については、工事進行基準を適用する旨の定めがある(法人税法第64条)。これに関しては、A1-20において述べる。 当該事例の税務上の取扱いを考えるのに、部分完成基準による収益の認識時期の規定が参考になると考えられる。一個の建設工事等であっても、その建設工事等の一部が完成し、その完成した部分を引き渡した都度その割合に応じて工事代金を収入する旨の特約又は慣習がある場合は、完成した工事部分に対応する工事収入を、その事業年度の益金とすれとされている。法人税法基本通達2–1–9 法人が請け負った建設工事等(法第64条第1項《長期大規模工事の請負に係る収益及び費用の帰属事業年度》の規定の適用があるもの及び同条第2項《長期大規模工事以外の工事の請負に係る収益及び費用の

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