新たな収益認識基準 実務対応
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1431 収益認識の金額や時期に影響を与える可能性のある事例可能な権利を有している。この権利は、顧客により契約が解除される場合に、企業が現在までに履行を完了した部分を補償する金額を受ける権利である。補償額は、現在までに移転した財・サービスの販売価格に近似した金額(履行義務で発生したコスト+合理的な利益)である。 当該事例について検討してみると、企業のソフトウェア制作過程において、経理システム構築の観点から考えて、進捗度に応じて、各フェーズ単独では、顧客は便益を受け取っているとは考えにくい(①の要件)。A社が開発するのはB社向けの特別仕様のソフトウェアであるから、現在まで開発した形そのままでは他に転用できない。仮に他の顧客向けに転用するとすれば、ソフトウェアを改修しなければならない。改修に多額のコストがかかるようでは、他に転用できないと判断される。また、当該契約においては、開発の各フェーズごとに支払う旨が明記されていることから、途中で解約された場合でも、少なくとも各フェーズまでの対価受取の権利は発生すると考えられ、③の要件には該当する。従って、当該事例の取引における収益は一定期間にわたり認識される。 IFRS第15号では不利な契約に関する規定(工事損失引当金)は設けられておらず、IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」の取扱いによるとされている。会計処理の相違日本基準又は日本基準における実務 ・分割検収基準(フェーズごとに収益を認識する方法)当期末までのサービス提供は、フェーズ②までで、①10%+②15%=25%の入金となる。

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