キャッシュレス決済のしくみと会計実務
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はじめに近年、Fintech関連のスタートアップ企業、既存の金融機関、また異業種からの決済ビジネスへの新規参入が相次いでおり、さらに政府によるキャッシュレス推進も相まって、「〇〇Pay」、「スマホ決済」、「キャッシュレス」といったフレーズを新聞やテレビで目にする機会が非常に多くなっています。キャッシュレス決済の種類も、クレジットカードのような伝統的な決済方法に加え、電子マネーや仮想通貨(暗号資産)、そしてスマートフォンを用いたQRコード決済といった新しい決済方法も登場するなど多様化が進んでいます。このように「キャッシュレス決済」は私たちにとって身近な存在になっていますが、キャッシュレス決済のしくみや会計処理について体系的に解説された書籍にはなかなか巡り会えません。たとえば、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」が2021年4月以後開始する事業年度から適用されますが、業種別の会計処理の解説においても決済ビジネスにフォーカスした解説を見ることはほとんどありません。キャッシュレス決済の経理や監査に携わる方、会計的な観点からキャッシュレス決済を深く知りたい方にとっては、キャッシュレス決済のしくみや会計処理を調べたくても書籍や記事がなく、お困りになっている方も多いのではないでしょうか。そこで本書は、決済方法の種類ごとに、概要や特徴、各当事者の役割、資金やデータの流れを図も用いて説明することにより、キャッシュレス決済のしくみを読者の方に理解していただけるようにしました。その上で、「収益認識に関する会計基準」をキャッシュレス決済のしくみに当てはめた場合の会計処理を、具体的な設例を盛り込みながら解説しています。

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