キャッシュレス決済のしくみと会計実務
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193キャッシュレス決済とポイントプログラムの税務第5章第 1節キャッシュレス決済の税務1法人税法の基本的な取扱い本章では、キャッシュレス決済に関する全般的な法人税法上の取扱いについて最初に説明し、その後で電子マネーやポイントなどの個別の論点に関連する法人税や消費税の具体的な取扱いについて説明していきます。①法人税法の改正キャッシュレス決済を提供する事業者は、キャッシュレス決済から生じる収益を法人税法に従って税務上の処理をしていく必要があります。日本では収益認識に関する包括的な会計基準としては、IFRSや米国会計基準に合わせる形で収益認識会計基準が導入されましたが、これに合わせて税制改正も行われました。この2018年(平成30年)度税制改正により、法人税法第22条の2が新設され、2018年5月30日付で改正法人税基本通達が発遣されています。収益認識会計基準では、①顧客との契約の識別、②契約における履行義務の識別、③取引価格の算定、④履行義務への取引価格の配分、⑤履行義務の充足による収益の認識、の5ステップを適用して収益認識のタイミングや金額を決めることになります。法人税法では、この5ステップの概念は明示されていませんが、収益認識会計基準の考え方を基本的に受け入れています。結果として、収益認識のタイミングや金額がこの5ステップと同じであることが多くのケースであるといえます。個々のキャッシュレス決済に関連する税務上の取扱いについてはあとで説明をしていますが、ここではまず基本的な法人税法上の取扱いについて

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