中小建設業のための“管理会計”読本
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営者あるいは管理者のセンス(感性)に依存するものです。 建設業の経営を効果的、効率的にマネジメントするために、ほどほどに普遍性を有しながらも、基本的には、会計情報の利用・活用に関する体系と手法の整理は、いわゆる管理会計という意味において、必ずしも十分な状況にあるとは言えません。いわば未整備の状況にあるものと判断することが適切と考えます。◇ 建設業の特性と会計情報システム 建設業に共通する特性としては、通常、次のようなものが挙げられています。1.請負事業であること。2.機能の異なる工程の連続的組合せをした生産形態であること。3.工事種類(工種)が多様である。4.企業規模は、大企業から中小企業さらに零細企業まで、ピラミッド型を構成する業界であること。5.生産形態は、関連企業を含むアウトソーシングの組み合わせを重視すること。 以上のような特性だけから勘案しても、これらを十分に認識して、建設業に共通する「マネジメントのための会計情報」を整理、分析、そして統合化する努力は、必ずしも容易なものでないでしょう。 しかしながら、建設業には、民間と民間のビジネスだけでとどまらないいま一つの重要な特性があります。すなわちそれは、公共機関と深く関わってビジネスを展開するという特性を除いて、あるべき会計情報の姿を整理し得ないということです。 公共事業政策を支える競争入札制度は、公正性、効率性、透明性によって支えられているものと考えます。 公正性は、第一に、公共事業政策を具体的に展開する制度と機構が公正2◆はじめに

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