不動産有効利用のための 都市開発の法律実務
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80 第2部 建築基準法による具体的基準築物を建築するのであれば問題はありませんが,AA’~BB’の範囲内に建築するとなると,擁壁を設置しなければならないということになります。なお,が・・けの勾配が30度以下である場合や,また,が・・け下で鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物を建築する場合などは,例外として,擁壁を設置しなくてもいいことになっています。そして,設置される擁壁についての技術上の基準が同条で定められています。ただ,擁壁が設置してあればよいというものではなく,この基準に合致した擁壁でなければなりません。昔に造成された分譲地で,擁壁は設けられているが,この基準に合致していないものが少なからず見受けられます。そういう場合は,擁壁をつくり直さなければならないということになりますので,注意が必要です。なお,同条例の関係部分を図表2-3に掲げておきましたので,参考にしてください。また,宅地造成にあたって,が・・け崩れや土砂の流出を生じるおそれが著しい市街地,あるいは市街地となろうとする土地の区域を,都道府県知事が宅地造成工事規制区域として指定し,その区域内における宅地造成工事について,宅地造成等規制法による厳しい規制をしている地域があります。この場合の擁壁の構造等については,同法の施行令でさらに厳しい規制が詳細に規定されています。一般的にがけ地の所有者はがけの上の土地の所有者が所有しています。がけの擁壁や土留などが崩壊し,がけ下の家屋が損壊する等したケースでは,がけの所有者に損害賠償責任が問われることも考えられるため注意が必要です。AA’BB’H≧2m2Hまたは20m2Hθtanθ=1|2図表2-1図表2-2(ア)(イ)

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