不動産有効利用のための 都市開発の法律実務
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343第1章建築基準法とはどういう法律なのか-民法と比較しながら考える 建築基準関係規定とは,建築基準法,同施行令,同施行規則,告示(これを建築基準法令の規定といっています)と,その他建築物の敷地,構造または建築設備に関する法律,ならびにこれに基づく命令および条例の規定で政令で定めるものをいいます。これによる基準については,第4部までで解説していますが,それを参照して下さい。3 民法の相隣関係による制約と建築基準法(1) 民法では別の制約を定めているがところで,隣近所の関係を規制しているもう一つの法律があります。それは民法です。民法では,建物を建てる場合には,隣地との境界線から50cm以上は離さなければならないと規定しています。しかし,その隣地の所有者は境界線からの距離を30cmしか離さないで,建築を始めたとします。そこで,東側隣地の所有者から,建物の位置を境界線から50cm以上になるようにしてほしいという請求があったとします。そして,建築主がその請求どおりの位置に建物を移して建築すれば,それはそれで円満解決ということになるのでしょうが,相手方(建築主)が応じないで,あくまでも当初の計画どおり,境界線から30cmの距離に建物を建築するのだといって強引に強行しようとしたら,隣地所有者はどのようにして,この建物の建築を阻止したらいいのかということになります。自分で建築現場に乗り込んでいって,境界線から50cmまでの部分の建築中の建物を取り壊してしまったり,その部分の建築工事を暴力で阻止するということはできません。このような自力救済は日本の法律では認められていないからです。(2) 建物の隣地境界線よりの距離ここで,もう一度,これに関する民法の規定をみてみましょう。民法では,まず,「建物を築造するには,境界線から50センチメートル以上

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