不動産契約書Q&A
2/24

改訂にあたって~民法改正の概要等~本書の初版が平成23年6月に発刊された後、民法のうち債権関係の規定の改正作業が本格化し、改正法の法案は、平成27年に国会に提出され、平成29年5月26日に成立し、同年6月2日に公布されました。改正法は、公布から3年以内の政令で定める日である2020年1月ないし4月頃から施行されることになりましたが、民法の債権関係の規定は大きく変わることになります。たとえば、売買の瑕疵担保責任は契約不適合責任に変わることになり、「瑕疵」という文言がなくなります(Q4-32)。今までの売買契約書では、「瑕疵」という文言が記載されていることが普通でしたが、改正法が施行されれば、「瑕疵」という文言が民法からなくなることから、契約書の記載も変わることになります。ほかにも、解除制度の考え方が大きく変わったり(Q1-12)、危険負担の債権者主義が廃止される(Q4-39)など、今回の改正は、民法が制定されて以来はじめての大改正となりました。また、現在の民法には規定がないもので、新設されるものもあります。たとえば、「定型約款」として約款についての規定が、民法に盛り込まれることになりました(Q7-3)。この大改正は、民法が制定されてから、日本の社会や経済が大きく変化していることや、国民にとってわかりやすい民法にする必要があるということを理由に行われました。民法が制定されてから、実務では民法の規定のままでは不都合な任意規定(Q1-2)を、契約で修正したりして対応してきました。今回の改正は、民法が実務に合うように改正される部分も多くあります。そのため、この改正によって、今まで積み重ねてきた実務での工夫が無駄になるわけではありません。しかし、民法の規定が大きく変わることは事実です。改正法が施行される前に少しでも改正内容を頭に入れておけば、施行されたときに焦る必要はありま(1)

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る