早わかり グループ通算制度のポイント
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はじめに平成14(2002)年からスタートした連結納税制度は、創設から20年目の節目の年である令和4(2022)年にグループ通算制度に生まれ変わります。連結納税制度は、単体納税制度とは別個の制度として構想され、それゆえに、単体納税制度から連結納税制度への移行にあたっては、単体納税制度の下での課税関係を清算すること(資産の時価評価や欠損金の切捨て)が求められました。また、連結グループからの離脱等により連結納税制度から単体納税制度に戻る可能性が常にあることから、連結納税制度の下でも、各連結法人において、その株主から受けた事業の元手(連結個別資本金等の額)とその事業で得た利益の内の課税済み留保金額(連結個別利益積立金額)とを常に把握し続けなければならないという複雑な仕組みを採用する必要がありました。一方、グループ通算制度は、あくまでも単体納税制度の枠内の仕組みであり、それゆえに、課税関係の清算の観点は一歩後退し、単体納税制度であるにもかかわらず法人格を超えて損益通算を行うことに起因する租税回避行為への対処や他の通算法人の修更正の影響の遮断といった技術的な側面が特徴となっています。連結納税制度とグループ通算制度とは損益通算という機能は同じですが、このようにその成り立ちは異なるものであり、生物における収斂進化(複数の異なるグループの生物が、同様の生態的地位についたときに、系統にかかわらず類似した形質を独立に獲得する現象)のような関係にあるといってよいのかもしれません。こうしたことから、本書では、これまで連結納税制度を適用している法人の理解を助ける観点から、連結納税制度を紹介しつつそれとの対比でグループ通算制度を説明していますが、連結納税制度を経ずにグループ通算

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