法人税制改正詳解 試し読み
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273れています。この「国外所得割合」については、上限が設けられており、その上限はその事業年度の所得金額の90%とされています。これは、彼此流用の問題に対応するため、日本に本社を置いている以上は、少なくとも全世界所得の概ね10%程度は日本本社等の貢献により発生しているものと整理し設けられたものです。 ただし、この国外所得割合の90%制限に対しては、上記②イ及びロの2つの特例が設けられており、これらの特例により90%を超える「国外所得割合」が許容されています。 イについては、国外で働く使用人が90%を超えている場合、その事業年度の所得金額に国外使用人割合を乗じて計算した金額が国外所得とされるものです。これは、国外で働く使用人が90%を超えていれば、事業活動の90%超を国外で行っていると考えられるため、先ほどの全世界所得の概ね10%程度が日本本社等の貢献により発生しているという考え方を採用しないものです。 ロについては、内国法人の各事業年度の控除対象外国法人税の合計額が、所得金額の50%を超える場合には、日本での税負担が過重なものになり、ときにはその税負担が法人の可処分所得を超えることも考えられます。そこで、このような高い税負担となる法人については、税負担を可処分所得の範囲に収容できるように、上記ロの算式により計算した金額を国外所得金額とすることが認められています。⑶ 控除対象外国法人税の額の範囲 改正前の制度における控除対象外国法人税の額の範囲について、『財務省解説』では以下のように述べられています。

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