法人税制改正詳解 試し読み
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275財務省解説 国際的二重課税の排除という外国税額控除制度の趣旨からすると、個々の国外所得ごとに、わが国で課される税額を限度として、その国外所得に対する外国税額を控除することが目的に適ったものと考えられますが、わが国の外国税額控除制度においては、控除限度額の計算の簡便さ等の観点から、国外所得を種類別や国別等に区分せずに、国外所得を一括して控除限度額の計算を行い、その控除限度額の範囲内で、その内国法人がその事業年度中に納付した外国法人税の額の合計額を控除するという、一括限度額方式を採用しています。しかし、この一括限度額方式の下では、わが国の法人実効税率を超える税率で課された外国法人税が、わが国の法人実効税率より低い税率で課税され、又は非課税とされる国外所得により生じる控除枠を利用して控除されてしまうという彼此流用の問題が生じます。 このように、その課された外国法人税のうち、わが国の法人実効税率を超える税率で課された部分については、国際的二重課税が発生していないため、外国税額控除の対象とすることは適当ではないとの考え方に基づき、外国税額控除の対象となる外国法人税の額から、その所得に対する負担が高率な部分を除外することとされています(法法69①)。 この外国税額控除の対象から除外される「高率」な外国法人税の水準は、本措置が導入された昭和63年当時の法人実効税率が地方税込みで概ね50%であったことを踏まえて「50%超」と設定されていましたが(旧法令142の3①)、その後の法人実効税率の累次の引下げにより、わが国の法人実効税率の水準との差がますます広がってきており、かねてより制度の適正化の必要性が認識されてきたところです。 そこで、今般の法人実効税率の引下げを契機として、外国税額控除の対象から除外される「高率」な外国法人税の水準を35%に引き下げることとされました(法令142の2①)。 なお、外国税額控除の対象から除外される「高率」な部分の金額については、法人税の所得金額の計算上、損金の額に算入されることとなります(法法22①③、41)。な外国法人税の水準を引き下げる改正が行われていますが、この改正について、『財務省解説』では以下のように解説されています。

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