法人税制改正詳解 試し読み
14/18

276 このように、実効税率の引下げを契機に、高率な外国法人税の水準も引き下げられました。適正な二重課税の排除、彼此流用問題の解消という観点からは当然の改正です。 しかし、国外で実効税率が35%を超える地域は、西海岸を中心とするアメリカの一部地域など、限られた地域であると考えられることから、当該改正による実務への影響は小さいと思われます。【説例】改正前と改正後の比較 全世界所得 50,000 A国を所得源泉地とする国外所得 10,000 A国税率 40.75% ① 改正前の控除対象外国法人税額  40.75% < 50%  ∴ 高率負担の部分がないため、4,075(10,000×40.75%)が控除対象外国法人税額となる ② 改正後の控除対象外国法人税額  40.75% > 35%  ∴ 10,000×(40.75%-35%)=575が高率負担の部分として、控除対象外国法人税額から除外され、損金算入される。    控除対象外国法人税額は、 10,000×40.75%-575=3,500となる。⑵ 控除限度額の計算の基礎となる国外所得から除外される非課税国外所得の見直し 平成23年12月改正においては、控除限度額の計算の基礎となる国外所得から除外される非課税国外所得の見直しも行われています。この改正により、外国で非課税とされる国外所得はその全額が控除限度額の計算から除外することとされました(法令142③)。 この改正の背景について、『財務省解説』では以下のように解説されて

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です