法人税制改正詳解 試し読み
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277います。財務省解説 外国税額控除の控除限度額は、前述のとおり内国法人の事業年度の所得に対する法人税の額に、その事業年度の国外所得割合を乗じて計算した金額とするとされていますが、非課税国外所得がある場合には、この計算の基礎となる国外所得から非課税国外所得の3分の2を除外することとされていました(旧法令142③)。これは、国外で課税とされる所得であれば、税負担の大小にかかわらず、その全額を国外所得として控除限度額が計算されることとのバランスに配慮して、非課税国外所得の3分の1については控除限度額の計算の基礎となる国外所得として考慮することを許容したものです。 しかしながら、国際的二重課税の排除という外国税額控除制度の本来の趣旨に照らせば、外国で非課税とされた所得については、そもそも国際的二重課税が発生していないため控除限度額を設定する必要はなく、国際的二重課税が発生していない非課税国外所得の控除限度額の余裕額を利用して控除がされるという、いわゆる彼此流用の余地を縮減する観点から、これまでも昭和63年、平成4年と累次にわたり控除限度額の計算の基礎となる国外所得として考慮する非課税国外所得の割合を引き下げてきたところです。このような文脈の中で、今般の改正において、非課税国外所得の全額を控除限度額の計算の基礎となる国外所得から除外することとされました(法令142③)。 なお、激変緩和の観点から、2年間(平成24年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度)については、非課税国外所得の6分の5を除外することとする経過措置が設けられています(平成23年12月改正法令附則9②)。 このように、平成23年12月改正により、以前から彼此流用の要因といわれた非課税国外所得について、その全額が国外所得から除外されました。 法人税率の引下げにより控除限度額が縮小するなか、この改正によっ

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