法人税制改正詳解 試し読み
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279 このように、企業の実態にかからわず、控除限度額の計算上は、必ず所得金額の10%相当額以上の国内源泉所得が生ずることになりました。この改正の結果生じた国際的な二重課税は、日本法人の負担となります。 したがって、石油などの資源開発をしている企業のように、大多数の従業員が海外で活動している法人には、大きな影響があるものと思われます。【説例(経過措置期間経過後)】改正前と改正後の比較 全世界所得 50,000 所得に対する法人税の額 12,750 国外所得 48,000 国外使用人割合 95% ① 改正前の外国税額控除制度における法人税の控除限度額12,750 ×95(*)=12,112100  (*)国外使用人割合(95%)>90%  ∴ 95%わが国に本社を置いている以上は、少なくとも全世界所得の概ね10%程度はわが国の本社等の貢献により発生したものとみることが妥当であるとの考えに基づくものです。 ただし、この国外所得割合の90%制限に対しては、上記1⑵②イ及びロの2つの特例が設けられており、これらの特例により90%を超える「国外所得割合」が許容されていました。 しかしながら、わが国に本社を置いている以上は、少なくとも全世界所得の概ね10%程度はわが国の本社等の貢献により発生したものとみることが妥当であるとの考え方からすれば、「国外所得割合」の上限を90%とする原則について、必ずしも例外を設ける必然性はないものと考えられることや、これらの特例はごく限られた特定の法人のみが恩典を受けるものであり適当ではないと考えられることから、これらの特例については、適正化の観点から、廃止することとされました(旧法令142③二、142の2)。

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