法人税制改正詳解 試し読み
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270 どのようにこの控除限度額を設けるかということについては、国別に控除限度額を計算する方式(以下、「国別限度額方式」といいます)、国外所得を所得種類別に区分しその区分ごとの控除限度額を計算する方式、そしてすべての国外所得を一括りにして控除限度額を計算する方式(以下、「一括限度額方式」といいます)などがあります。日本では、外国税額控除制度の創設当初は国別限度額方式を採用し、その後、昭和37年度改正で国別限度額方式と一括限度額方式の選択制となりましたが、昭和38年度改正で一括限度額方式に一本化され、現在も一括限度額方式を採用しています。 そのため、控除限度額は、国や所得の区分を行うことなく、日本の法人税額のうち国外所得金額に対応する部分の金額として簡便に計算されることとなっています。しかし、計算が簡便であるというメリットの一方、日本の実効税率を超える税率で課された外国法人税が、日本の実効税率より低い税率で課税され又は非課税とされる国外所得により生ずる控除枠を利用して控除されてしまうという彼此流用の問題が生じており、幾度も改正が行われています。図表3-1-2 彼此流用問題のイメージ出所:平成22年11月16日税制調査会資料【現行制度】【問題点】控除限度額①の範囲内で、外国税額②をわが国の法人税額から控除する仕組みとなっている。その際、㋑ 税率50%までは外国税額として カウント㋺ 非課税所得の1/3は限度額にカウ ント この結果、二重課税となっていない外国税額(ⓐの部分)も、控除限度額の余裕額(ⓑの部分)を利用して控除できる(いわゆる彼此流用の発生)。本来的な国際的二重課税の部分(外国税額控除制度の対象とすべき部分)日本では、国外所得・国内源泉所得の合計に法人税率で課税わが国法人税率(法人税+住民税)所得税率50%A国国外所得(税率50%)B国国外所得(税率10%)C国国外所得(非課税)日本国内源泉所得外国税額②控除限度額①ⓐⓑ

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